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- 2024.2.14
- コラム
【コラム】『包 -TsuTsuMu- 』が生まれた経緯
『包 -TsuTsuMu- 』の製作は、
木や布、ガラスなどの芯材に塗料として漆を塗るのではなく、
漆だけで形を作り、その器でお酒を飲みたい! という個人的な欲求から始まりました。
漆は、湿気で固まる性質があるので、
①型に流し込んでも、内部まで固まらない
② 漆が固まるためには1回で0.05mmの厚みしか塗ることができない
という、製作上のハードルが。
ならばということで、
0.05mmの厚みしか塗ることができない漆をひたすら塗り重ねて、
漆そのもので強度が保てる厚み(約1mm)を作ることに成功しました。
一旦それで満足したのですが。
その漆の中に、漆とは異素材であるガラス破片を共存させた姿を見たくなりました。
製作方法を更に研究し、漆そのものとガラスそのものが共存した酒器 『包 -TsuTsuMu- 』 が生まれました。
漆には漆の特徴、ガラスにはガラスの特徴があります。
どちらかが縁の下の力持ちになるのではなく、
お互いが独立して存在しつつ、一つになることで、新しい豊かな関係性が生まれる。
足りない部分は補い合えばいい。
そんな世界観を、一つの器で表現しています。