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- 2023.8.8
- コラム
『包 -TsuTsuMu- 』の飲み口の特徴
『包 -TsuTsuMu- 』の飲み口の特徴
漆の質感が優しいのは、他の漆器と同じなので、それ以外に。
①薄さ1mm
②芯材がない
③下が重く上が軽い
大きくは、この3つ。
薄さ1mmで、尚且つ、芯から全てが漆なので芯材の硬さや冷たさがありません。
(例えば、漆を塗ったガラスコップは、ガラスの冷たさと硬さが漆を通して唇に伝わってくる)
それだけでも、唇をつけたときに主張しない酒器なのですが、実は③の役割が大きい。
『包 -TsuTsuMu- 』はガラス破片を、漆の塗り重ね(25回以上)で繋いだ構造。
そのために、ガラス部分は重みがあるが、漆部分はとても軽い。
飲み口にはガラスを配置せず、円周全てを漆にしているため上方は軽く、
また、手に持った時のバランスをよくするため、ガラスを下方に多めに配置して下方を重くしています。
器にお酒を注ぎ、手に持ち、唇につけ、お酒を口に流し込む時の、横からの様子を想像してみてください。
飲み口は薄くて軽く、重みのある下部は手で支えるので、飲み口は唇を下に押しません。
この3つの要因と漆の優しい質感が合わさり、お酒が口に流れ込むとき唇は器の存在をあまり感じず、自然にお酒だけに意識が集中する、そんな飲み口になっています。